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Chapter 5: The Cultural Festival Begins
It’s been just a week since the start of the second term. Our class, 2-2, has already decided on our cultural festival event, so now all that’s left is to prepare for the main event. However, not every class is in the same situation.
“Yui-chan, has your class decided what to do for the cultural festival yet?”
During lunch break in the cafeteria, as we were eating with our usual group, Kaede brought up the topic of the cultural festival and asked Yui.
Meiwa High School’s cultural festival is held on the first weekend of October every year. Because of this, the first month after the summer break is a frantic time of preparations for every class. However, the first-year students who are experiencing this for the first time don’t realize this and end up in a panic. And there’s one person here who seems likely to be in that situation.
“Listen to this, Kaede! Some boys in our class are clamoring to do a ‘Cosplay Café!’ Because of that, we’re still undecided between a haunted house and a café. Can you believe it?”
As expected, Yui’s class hasn’t decided on their event yet. It’s like looking back at ourselves from last year, and Shinji, Ai, and I can’t help but give a wry smile in unison.
“Yui, I don’t mean to be harsh, but you should decide today whether it’s going to be one or the other. The preparation is harder than you think.”
“Ai’s right, Yui-chan. We decided late like you and ended up working weekends. We thought we might have to stay overnight at school to finish everything.”
“I’d recommend a café. You should avoid a haunted house. Take it from someone who’s been there.”
Yui’s face pales at the advice from the three of us who’ve been through hell. She turns her head towards Kaede, who’s sitting next to her, with a creak like a broken spring toy, seeking confirmation.
“Ka-Kaede, is what they’re saying true? What Yuya said about giving up weekends, it’s not true, right!?”
“Unfortunately, Yui-chan… everything they said is true.”
“It’s nostalgic remembering Shinji exhausted and crying while working, but still not finishing…”
Looking at the two reliable seniors bowing their heads in sadness, Yui lets out a silent scream in the pose of Munch’s The Scream, her hands pressed to her cheeks. By the way, when I told Kaede about how hard it was to prepare for last year’s cultural festival, she looked at me in amazement and said, “Yuya, that’s what we call ‘reaping what you sow.'”
“As Ai said, you should decide on your cultural festival event and start preparing as soon as possible. Otherwise, a tragedy is bound to happen to Yui-chan.”
“Don’t make predictions like a fake psychic, Kaede! What if a real tragedy happens?”
“Hehehe, I can foresee all of Yui-chan’s future. If you want to avoid that, I recommend a café, or something similar. By the way, our class is doing a maid café, so please don’t copy us, okay?”
“…Hey, Yuya-senpai, is what Kaede just said true?”
This translation has been crafted to maintain the original nuances of the story, ensuring clarity in English while respecting your detailed guidelines for character names and cultural adjustments.
絶望した様子から一転して、結ちゃんの声音が鬼気迫るものへと変化する。どうして俺に振るのかすこぶる疑問だけど素直に答えることにした。別に追及されるのが面倒だったわけじゃないからな?
「あぁ、そうだよ。俺達のクラスは大おお槻つきさん発案でメイド喫茶に決まったよ」
「詳しくはメイド&執事喫茶なんだけどね!楓ちゃんと哀あいちゃんのメイド姿とヨッシーとシン君の執事姿でがっぽり稼ぐぜ!」
そう言ってガッハッハッと時代劇の悪徳商人のように呵か々か大笑する大槻さん。自分目当ての客はいないと思っていそうだけど、メイド服を着た大槻さん目当ての客は間違いなく存在する。伸二が気を揉もみそうだな。
「王道な清楚で日本一可愛い女子高生の楓ねぇ。王子様気質でカッコ可愛い二階堂先輩のギャップ萌もえ。極めつけは合法ロリ爆乳な大槻先輩。明和台が誇る三大美少女のメイド服とか最強じゃないですか!」
バンッとテーブルを叩たたいて結ちゃんが叫ぶがそうなるのも無理はない。メイド喫茶&執事喫茶に決まった瞬間の男子の喜びようと言ったら尋常じゃなかったからな。ちなみに二階堂には執事役がいいのではないかと意見が出たのだが、当の本人がおずおずと挙手をすると少し照れた様子でこう言った。
『私もメイド服が着たいんだけど……ダメかな?』
明和台の王子様の健けな気げなお願いに否と答える者は誰一人としていなかった。むしろイケメン美少女の二階堂自らメイド服が着たいと要望を出したことに女性陣は狂喜乱舞し、ばっちりメイクを施して飛び切り可愛くし、二人目の日本一可愛い女子高生に仕立てようと息巻いている。
「結ちゃんもうちのクラスに来てメイドさんになってよ!金髪美少女の後輩貧乳メイドが加われば最強の布陣が完成だよ!」
「金髪美少女なんて……大槻先輩にそう言ってもらえるなんて光栄です。文化祭の期間だけでも楓ねぇのクラスにお世話になっちゃおうかなぁ」
聞きなじみのある誘い文句を大槻さんから言われ、えへへとふやけた顔で嬉うれしそうに笑う結ちゃん。美少女の陰に隠れて貧乳って言われているけどそこはスルーするのか。
「そんなことを言ったらクラスメイトの子達が可哀想かわいそうですよ。結ちゃんは自分のクラスを盛り上げるよう頑張ってください」
苦笑交じりで至極尤もっともな指摘を楓さんがする。好きな人、仲のいい人で集まって準備をしたらクラスの出し物というより部活の出し物だ。
「ちぇっ。せっかくメイドな楓ねぇと一緒に働けると思ったのになぁ。二階堂先輩のメイド服も拝めないかもしれないと思うと……あ、吉住先輩。あとで相談があるんですけどいいですか?」
何か思いついたのか、結ちゃんは悪あく人にん面づらとなって俺に尋ねてきた。皆まで言わなくても考えていることは手に取るようにわかるぞ。
「どうせあれだろう。楓さんと二階堂のメイド姿を写真に撮ってほしいってお願いだろう?それくらいなら構わないけど二人の許可は自分で取ってね?」
「さすが吉住先輩、話が早くて助かります!楓ねぇと二階堂先輩にはこの後しっかり許可を取るので安心してください。ですが吉住先輩。私が本当に頼みたいことはそれとは別にあるんです」
楓さんと二階堂を目の前にして許可も何もないと思うが、というツッコミは飲み込んで、口元をニヒルに歪ゆがめながら結ちゃんが顔を寄せろと手招きするので近づけると、こそっと耳打ちをしてきた。
「私がお願いしたいのはですね───」
「───正気か、結ちゃん?」
その内容を聞いて俺は英国貴婦人を母に持つ金髪美少女の正気を疑った。女の子の口から発していい提案では決してない。むしろ女の敵だぞ。
「大丈夫ですよ。二階堂先輩はともかくとして、楓ねぇなら喜んで協力してくれるはずです。むしろノリノリで撮らせてくれると思います。まぁそのあと食べられても責任は負えませんが」
「おいコラ。なんてことを言うんだ、結ちゃん。というか俺が楓さんに食べられるのが前提なのか」
「話を聞いている限りですと、楓ねぇほどの美少女から事あるごとに際きわどいアプローチを何度もされているのに吉住先輩は手を出したんですか?」
どうして結ちゃんが俺と楓さんの秘め事を知っているのか気になるところではあるが、ご存知の通り残念ながら答えはノーだ。
「まったく……吉住先輩はとんだチキン野郎ですね。さっさと覚悟を決めて楓ねぇと大人の階段を登っちゃいなさいな。それとも吉住先輩は高二にして不能なんですか?」
花の女子高生とは思えない、場末の居酒屋で行われる酔っ払い親おや父じの下ネタトークよりも酷ひどい発言を素面しらふで連発する結ちゃん。
「ねぇ、結ちゃん。勇也君とコソコソ内緒話をするのはいいですがそろそろ離れましょうか?近すぎます!」
楓さんがぷくぅと頰を膨らませながら、貸したきり帰ってこないぬいぐるみを奪還するかのように俺の首に腕を回して結ちゃんから引き剝がした。
「確かに勇也君はチキンさんです。私が何度お誘いしても優しいチューまでしかしてくれません。でも決して不能さんではありません!勇也君の勇也君はそれはもうとても立派で───」
「スト──────ップ!突然何を言い出すんですか、楓さん!?時間と場所を考えてくれるかな!?」
俺はとっさに楓さんの口を両手でしっかり塞ぐ。何するんですかと手をバタつかせて抗議して来るが聞く耳持ちません。
昼下がりの大勢の生徒がいるカフェテリアでするのは論外だし、TPOを弁わきまえたら口にしていいかと言われても以下同文だ。脈絡もなく二人の秘め事を暴露しようとするな。
「吉住は立派……立派なのか……そうなのか……」
顔を真っ赤にしながら譫言うわごとのように呟つぶやいたのは二階堂だった。この中で数少ない良心なのにポンコツにならないでくれ。
「にゃるほどねぇ……ヨッシーが立派だってことを知っているってことは、少なくとも楓ちゃんとヨッシーは裸の付き合いがあるってことでオッケーなのかにゃ?」
「いくら一ひとつ葉ばさんのご両親が一緒とはいえ、ひとつ屋根の下で一緒に暮らしていたらそうなるのは必然だよ。それでも一線を越えていない勇也は……すごいと思う」
当然のようにバカップルが話に便乗して来る。結ちゃんも含めて、俺はあくまで一葉家に居い候そうろうをしていることになっているので、楓さんのご両親も一緒に住んでいると思われている。実はそれが噓だと知られたら───うん、考えたくないな。
名状しがたいこの混こん沌とんとした状況に終止符を打ったのは、校内に鳴り響いた昼休みの終わりを告げるチャイムだった。
「結局最後は楓ねぇと吉住先輩のイチャイチャを見せられてお昼休みは終わりですか。ホント、やれやれです」
「ねぇ、結ちゃん。誰のせいでこんなことになったと思っているのかな?」
呆あきれた調子で肩をすくめながら立ち上がる後輩の天然金髪女子にジト目を向けるがどこ吹く風。結ちゃんはヒューヒューと口笛を吹きながら、お先ですと言い残してカフェテリアから逃げるように去って行った。
「それじゃそろそろ僕達も教室に戻ろうか。これ以上メオトップルの邪魔をしたら悪いからね」
「そうだね!哀ちゃん、昼休みもそろそろ終わるから正気に戻って!」
「はっ!?私は一体何を考えて……?」
ペシっと大槻さんが背伸びをしながら二階堂の頭を軽く叩くと抜け殻になっていた身体からだに魂が戻ってきた。それでもまだ呆ほうけている二階堂を無理やり立たせると、
「はいはい。教室に戻りますよ、王子様。哀ちゃんは私が何とかしておくから、ヨッシーは責任をもって楓ちゃんを連れて来る事。わかった?」
「……はい、わかりました」
楓さんの口を押さえたまま俺が返事をすると、よろしいと一言返して、大槻さんは二階堂の手を引っ張って教室へ戻った。その後ろに付いた伸二は去り際にこちらを振り向くと笑顔でこう言った。
「卒業したら教えてね、勇也」
「……お前にだけは絶対に教えない」
むしろ伸二はどうなんだと聞きたいのは山々だが、それは後日にしておこう。楓さんがいる前でする話ではない。
「ぷはぁ───!どうして口封じをしたんですか、勇也君。これは勇也君の名誉に関わることだと思ったから私なりにフォローをしようと思ったのにどうして!?」
楓さんの口から手を離した瞬間、抗議の声を上げる楓さん。いつの間にか俺達以外の生徒がいなくなり、静かになったカフェテリアに透き通った楓さんの声が響き渡る。
「それはあれだよ、昼休みの学校でする話じゃないからだよ。というかいくら友達とはいえ他人にするような話じゃないよね?」
「うぅ……確かにそうかもしれませんが、かといって言われっぱなしは私が嫌なんです。だって一緒にお風ふ呂ろに入った時の勇也君のが……てへっ」
そう言って楓さんは両手を頰に当てて可か愛わいく首を傾ける。うん、この暴走列車に乗車したらダメだな。大槻さんには申し訳ないが放置して一人で教室に戻るとしよう。
「ま、待ってください、勇也君!調子に乗ってごめんなさい!反省も後悔もしていますから置いていかないでください!」
俺が一人で歩き出すと、楓さんも慌てて立ち上がり泣きそうな声を出しながら隣に並び、手をぎゅっと握ってきた。
「学校の中で手を繫つなぐのは恥ずかしいって何度も言っているのに……」
「そう言うわりに、勇也君はいつも教室までは握っていてくれますよね。もう、勇也君のツンデレさん」
楓さんがからかうようにツンツンと指でわき腹を小突いてくるがくすぐったいのでやめてほしい。あと俺はツンデレじゃないからね。手を離そうとしたら楓さんが悲しそうな顔をするから離したくても離せないだけだからね?
「そういうことにしておいてあげます!さぁ、勇也君。午後の授業と文化祭の準備、頑張りましょうね!」
今年の文化祭はどうなるのかこれから楽しみだ。楓さんのメイド服姿をまた拝めると思うと期待に胸が膨らむな。
「勇也君の執事さんも楽しみです!お家うちに帰ったら〝お帰りなさいませ、お嬢様〟っていう練習をしましょうね!」
うなぎ登りだった俺のテンションが一気に下がった。執事服、本当に着ないとダメ?